続 ドローン飛行の許可・承認の変更点。- FISS登録の義務化か?

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「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」の一部改正について(案)

1.経緯
無人航空機については、地上の人や物件等の安全確保のため、航空法第 132 条等に基づき国土交通大臣が飛行の許可承認を行っており、「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(以下「審査要領」という。)」において、当該許可承認にあたっての飛行の安全性に関する審査基準を定めている。無人航空機の許可承認申請件数は近年大幅に増加し、平成 28 年度と比較すると令和元年度の許可承認申請件数は約4倍 (令和元年 5 月実績約 4,200 件)となっていることから、航空局では平成 31 年 4 月より無人機の飛行情報を関係者間で共有するシステム(以下「飛行情報共有システム」という。)の運用を開始し、有人航空機や無人航空機同士の衝突防止を図る取組を行っているところであり、より多くの飛行情報を共有し一層の飛行の安全確保に繋がるよう、今般、審査要領を改正し飛行の許可承認を受けた者について飛行の都度当該システムへの入力を求めることとする。また、審査要領について飛行の安全を確保するために必要な所要の改正を行う。
2.改正内容
(1)飛行前の飛行情報共有システムへの入力
無人航空機の飛行情報を共有し有人航空機等との衝突を防止するため、審査要領4-3-1 に、無人航空機を飛行させる際には飛行情報共有システムに、飛行する日時、場所等を入力する旨を追加
(2)催し場所上空の飛行にあたっての主催者の同意に関する書類の提示
審査要領 2-2(申請書記載事項の確認)に、催し場所上空を飛行する場合は、5-6に従って主催者等との調整を行った結果を記載する旨を追加
(3)人口集中地区における夜間飛行等の申請時における飛行経路の特定
・人口集中地区における夜間飛行、夜間における目視外飛行、補助者を配置しない目視外飛行、催し場所上空の飛行、空港等周辺の飛行、地表等から 150m 以上の飛行又は趣味目的で飛行を行う場合の飛行申請時に、飛行経路の特定が必須である旨を追加
・人口集中地区で夜間における目視外飛行を行う場合又は催し場所上空の飛行を行う場合の飛行申請時に、飛行の日時の特定が必須である旨を追加
(4)その他所要の改正
3.スケジュール
令和元年7月 24 日頃:公布・施行

意訳すると、「最近ドローンの運用も多くなってきました。有人機とドローンの衝突事故などを防ぐため、許可・承認が必要な飛行をする際は、全てのドローンユーザは飛行ルートなどを、FISS(飛行情報共有システム)に登録しなさいね。」という改正になります。

重要なポイントをもう一度強調します。「今般、審査要領を改正し飛行の許可承認を受けた者について飛行の都度当該システムへの入力を求めることとする。」ということです。つまり、目視外や夜間、30m未満、DIDなどの許可承認が必要な飛行をする際は、全員、毎回、FISS登録です。

つまりこれら9つの飛行を行う場合は、全てFISS登録が必須になるということです。これが業界を激震させる所以です。特に「30m未満飛行」についての規定は厳しく、この許可を持っていないと日本全国飛ばす場所など皆無です。その30m未満についての解釈は以下の通りです。

30m未満飛行(距離の確保)解釈の落とし穴

(3)地上又は水上の人又は物件との間に一定の距離を確保した飛行
飛行させる無人航空機が地上又は水上の人又は物件と衝突することを防止するため、航空法第 132 条の2第3号により、当該無人航空機とこれらとの間に一定の距離(30m)を確保して飛行させることとしている。
ここで、航空法第 132 条の2第3号の規定は、飛行する無人航空機の衝突から人又は物件を保護することが趣旨であることから、一定の距離(30m)を保つべき人又は物件とは、次のとおりと解釈される。
○「人」とは、無人航空機を飛行させる者及びその関係者(無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与している者)以外の者をいう。
○「物件」とは、次に掲げるもののうち、無人航空機を飛行させる者及びその関係者(無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与している者)が所有又は管理する物件以外のものをいう。
a)中に人が存在することが想定される機器(車両等)
b)建築物その他の相当の大きさを有する工作物
具体的な例として、次に掲げる物件が本規定の物件に該当する。
車両等:自動車、鉄道車両、軌道車両、船舶、航空機、建設機械、港湾のクレーン 等
工作物:ビル、住居、工場、倉庫、橋梁、高架、水門、変電所、鉄塔、電柱、電線、信号機、街灯 等
※なお、以下の物件は、本規定の趣旨に鑑み、本規定の距離を保つべき物件には該当しない。
a)土地(田畑用地及び舗装された土地(道路の路面等)、堤防、鉄道の線
路等であって土地と一体となっているものを含む。)
b)自然物(樹木、雑草 等) 等

第三者というのは人間だけではありません。第三者の物件も全て含みます。そしてその物件は、土地や樹木以外、ほとんど全てを指します。一見何も無さそうな荒野や海岸だったとしても電柱の一本でもあれば、30m以上離れてドローンを運用しなければなりません。言い換えれば、「30m未満飛行(距離の確保)」の許可がなければ、地権者から許可を得た場所で電線などが無い場所か、または自分の私有地以外で、まともに飛ばせる場所はありません

今までもこれからも、この許可を取得のうえ法律を遵守してドローンを運用する必要があるわけです。しかし私が不安なのが、もしかしたらこの30mルールを知らずにドローンを飛ばしている方が多数いるかもしれないという事。ドローンはアマゾンなどで簡単に購入できます。そして、ルールを知らない方々が最近どんどん捕まっています。

今後、FISS登録の義務化となれば、今まで以上に検挙や逮捕が進むと考えられます。人口密集地区や30m以上の距離を確保できない場所で「ドローンが飛んでいる」という住民からの通報を受ければ、警察等の関係者はまずFISSを確認するでしょう。

そしてFISS登録の確認が取れなければ、すぐに現場に急行して即逮捕です。ドローンによる有人機等との接触やテロ利用などの危険性を考えると、当然の流れなのですが、航空法を軽く考えているユーザは痛い目を見ることになるでしょう。

ただの空撮や練習であっても、飛ばす空域には相当の注意をしながら選定する必要がある時代が到来しているのです。国交省の許可を取っていない方がドローンを飛ばす時は、広い土地を持った地権者から許可を取り「30m未満飛行」を解除するしかありません。または許可を取って、FISSにしっかり登録して飛ばしましょう。

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