農業や測量など産業用としても普及が進む小型無人機(ドローン)について、政府は所有者に機体情報の登録を義務づける方針を固めた。登録された番号を機体に明示することも求め、トラブルや事故に対応しやすくする狙いがある。航空法の改正を含めた制度の整備を、来年から進める考えだ。
義務化された後は、所有者や操縦者の名前と住所▽製造者名や型式、製造番号、機体の重さなどを登録しなければ、ドローンを飛ばせなくなる。すでに使われている機体や海外から持ち込まれた機体も対象になる。登録はオンラインで受け付け、登録内容の変更や抹消の手続きも必要になる予定だが、200グラム未満の機体については、義務化の対象にならない見通し。
ドローンの機体情報の登録は各国が議論を進めている。米国ではすでに義務づけられており、欧州でも来年から導入される予定。
ドローンはここ数年で急速に普及し、愛好家だけでなく、空撮や農薬散布、測量、輸送など様々な産業分野でも活用され始めた。
日本の航空法では、200グラム以上の機体について、高さ150メートル以上の空域やイベント会場、空港周辺、人口密集地の上空、夜間や目視外で飛ばす場合には、国の許可が必要とされている。こうした空域では許可の申請段階で、所有者や機体の情報、飛ばす日時や場所、高度といった情報を把握できていた。
2018年度の飛行許可申請は3万6895件で、16年度の1万3535件からわずか2年で3倍近くになった。一方、ドローンについて国土交通省に寄せられたトラブルや事故の情報は16年度の55件から、18年度は79件に増えた。
飛行許可がいらない地域での故障などの軽微なトラブルもあったが、許可が必要な地域で、無許可のドローンとみられる物体が目撃される事例も目立つ。関西空港では10~11月、滑走路付近で目撃情報が相次ぎ、少なくとも4回にわたって滑走路が閉鎖され、発着便が大きく遅れるなど混乱が広がった。都内でも外国人観光客などが禁止地域でドローンを無断で飛ばして摘発される例が複数ある。
朝日新聞社